Story
2022-07-16 18:51:00
『遊び』の生まれる場所
例えば「鬼ごっこ」や「だるまさんがころんだ」、音楽における「ドレミファソラシド」。
『遊び』が生まれる場所ではいつも、時間や空間などに日常生活から切り離された区画が作られ、その区画の中での独自なルールに従って世界が動きます。
そこにはいつもの日常生活とは違った法則で動く、別の宇宙のようなものが出現します。
その場と日常生活との境界線はとてもはっきりしていますが、それが物質的に目に見える形で場を区切る場合と、「こういうことにしましょうね」という、参加者たちによる暗黙の了解のようなもので区切ったことにされる場合とがあります。
またそれは意識的に区画されることもあるし、何となく当たり前のこととしてひとりでに場が成立することもあります。
そしてこのような視点で見ていくと、一見して真面目に見えるもの、例えば神殿や聖なる式典、宮廷社会のシステム、魔術の円陣、法廷などにも、形式や機能から言えば『遊び』の場であると言うこともできます。
もちろん、見た目にもいかにも遊びらしい、トランプ卓や劇場の舞台、闘技場などといったものも同じです。
つまりまとめると、
『遊び』の場とは、区画された空間・時間の中だけに有効な、固有な規則によって司られた特殊な一画であり、柵で囲われるように周囲からは隔離されているもの。
現実や日常の世界から切り離され、それだけで独立して存在し、その内部に世界の全てがあり、そこだけで完結する。
ある行為のために捧げられた聖なる世界、しかし一時的な世界のこと。
*Singspiel*では、こういった『遊び』の場を「世界観」と呼んでいます。